龍河洞・コウモリの会・かずら橋
2016年9月10日〜11日
今年のコウモリフェスティバルは高知県で開催、という案内が来ていました。高知県と言っても、高知市からさらに2時間も山を登ったところです。車で行くのもしんどいかなあ、と思いつつも、ハープトラップもするというので出かけてみることにしました。
高知と言うと、アンパンマンが有名らしいです。
高知の話が出てから、妻も付いてくるという話になりました。と言っても、私はコウモリフェスティバル、妻は市内観光です。
時間を考えると、先に龍河洞へ行けそうです。私はかなり以前に来たことがあるのですが、さっぱり覚えていないのでもう一度行ってみることにしました。
車から入り口まで売店が並んでいます。が、あまり人が入っている感じはありません。
最後の店は閉まっていましたが、なんだかおかしな看板があります。これは最後にわかるのですが、鍾乳洞の出口近くに店があって、そこの店主と何かトラブルがあるような感じでした。(上の店で、下で何か聞きましたか?、って聞かれて、下の店の悪口を聞かされましたので。)
ちなみに、看板にあるみたいに包丁などの刃物がたくさん売られていました。なぜここが刃物なのかわかりませんでした。刃物は堺ですよね。
入り口まで長いエスカレーターがありました。前回もあったでしょうけど、さっぱり覚えていません。
で、いよいよ鍾乳洞へ。
先日も岡山の鍾乳洞めぐりをしてきましたし、基本的に鍾乳洞というのは規模の違いはありますが、どこも同じです。
名前の付け方もまあ、どこもよく似たようなもんです。
(左)細い隙間があって横を向かないと抜けられない、お相撲さんはたいへん、というだけの事です。
大広間的なところでコウモリの声が聞こえてきました。上を見るとユビナガコウモリが見えました。声からするとまだまだ大きなコロニーがありそうでしたが見つけられませんでした。ヘッドライトで探そうかと思っていたら、コウモリ保護のためフラッシュは使わないでください、とも書かれていたので探すのを断念しました。
弥生時代だったかなあ、当時の人がここに壺を置いたまま忘れ、それが「石灰化」しているんだそうです。
でもって、同じような実験をしているそうです。少し見にくいですが、右に壺が置かれています。79年目だそうです。
このあたり、縄文だか弥生だかの時代に、人が生活していた痕跡があるんだそうです。
八景?九選?
横に博物館がありました。
どちらかというと、B級スポットに近いです。
(左)骨折した恐竜が治療されています。
(右)いつの時代の人か知りませんが、暖かそうな毛糸のパンツをはいています。
まあ、これはどこの鍾乳洞でも解説されているものです。
洞内地図です。
(右)わかりにくいですが、右下が入り口、真ん中上部の小さな円が一般の見学コースで真ん中あたりに出てきます。外側の大回りは、「探検コース」で、繋ぎとかヘルメットを貸してくれ、案内人と歩くコースなんだそうです。たぶん、照明とかも消しているのかなあ。さあ、いくらするんだろう?
コウモリの展示もありましたが、照明で退色して悲しい姿。
この人、何してるんだっけ。
鍾乳石や鉱物の標本です。
洞穴性昆虫や洞穴性のエビなど、貴重な標本もあると思うんだけどよくわかりませんでした。
(右)たぶん、石灰岩地域特有の貝類もあるんだと思うけど、これもよくわからず。
高知県はヤイロチョウが県の鳥になっています。
その隣には、オナガドリはじめ、各種のニワトリが飼育されていました。鍾乳洞とニワトリとの関係もよくわからず。
オナガドリはこんな箱で飼うんだそうです。
これだけはかすかに記憶があって、3羽くらいはいたように思うんだけど。
おっちゃんが薬を撒いていたので話を聞きました。県の育種場からニワトリを移動させたら、ワクモを連れてきたそうです。
ワクモというのは昼間はケージの隙間なんかに潜んでおり、夜になるとニワトリに取り付いて血を吸うんだそうです。
今は「ネグホン」で殺虫しているが、耐性が出てきているので今度は「ボルホ」で治療する、って、懐かしい薬品名が出てきました。
龍河洞を見てから妻を高知市内で降ろし、私はコウモリフェスティバルが行われる天狗高原というところへ。
昔は国民宿舎だったみたいです。立派な施設に、観光客もずいぶんたくさん登ってきているみたいでした。冬には積雪があり、リフトこそありませんでしたがスキー場になるそうです。
敷地内を県境が横切っているようです。税金なんかはどうなるんでしょうね?
廊下にも県境がありました。
このあたりは四国カルストと呼ばれる石灰岩地域だそうです。
フェスティバルにあわせて、コウモリの展示がありました。
ポスター展示がいくつもあり、たいへん勉強になりました。
これはコテングコウモリに関しての研究です。
こっちはカラマツ林での、カスミ網を使っての研究です。
新幹線の高架にヒナコウモリ、ヤマコウモリが生息し、出産も行われているという観察です。
某所なんか、数千頭の規模でヒナコウモリが棲んでいるらしい。研究者の方にもお会いしていろいろ話を聞かせていただきました。
コウモリ関連の個人コレクションです。
講演会の後はカルスト台地でアナグマの観察会がありました。
(左)カルスト台地は木が刈られ、一面の牧草地になっています。
(右)真っ昼間からアナグマがこの牧草地をうろうろするんだそうです。野生哺乳類の観察会がこんなに簡単にできるなんて驚きでした。食事を探しているアナグマに、カラスがちょっかいをだしています。
フィールドスコープで撮影しました。かわいい。美しい。
案内して下さった研究者の方は、顔を見て個体識別できているんだそうです。
アナグマを観察している間、別のグループはハープトラップの設置をしていました。
コウモリは、こんな風に縦糸が見えないんでしょう。
(右)縦糸にぶつかったコウモリが落っこちて、底にひかれた布に張り付きます。
食事をして戻ると、コウモリがいくつか見つかりました。
なんと、この子、モリアブラコウモリなんだそうです。私にとっては初見です。もっとも、普通のアブラに似たような子ですけど。
ペニスの形態が違うんだったかなあ。
こっちにはテングコウモリ。
夜10時くらいに見回りをして、次は早朝でいいんだそうです。
5時30分に集合とのことで外へ出てみると、夜明け寸前の素晴らしい風景でした。
見ての通り、見事に多数のコウモリが捕獲できていました。衝撃的です。
採れたコウモリは一頭ずつ袋に入れられ、計測待ちです。
今回はネズミの調査も同時に行われました。
トラップからネズミを出す方法が優れていました。もちろん自作で、細かな工夫がされていました。
で、今回はスミスネズミが捕獲できていました。
こっちはおまけです。
参加者が保護飼育しているコウベモグラ。ミミズを食べるそうです。
こっちはヒナコウモリ。
骨折してピンニングしたそうです。骨折はきれいに治っていました。
二日目の午前中も講演があり、いろいろ勉強になりました。
たいへん有意義な二日間でした。無理して来てよかったです。
午後からコウモリの会の総会予定でしたが妻を市内にほったらかしですし、帰る時間を考えて早々に退却しました。また延々と山道を降りました。
帰りにかずら橋へ行ってみました。
ものすごくいっぱい、観光客が来ています。一方通行で料金が510円です。
高いんだか、安いんだか、微妙ですね。
足元もこんな風で揺れるし、思わず横にしがみつきながら必死に早足で歩きました。
もう、二度と来ないだろうなあ・・・・・・。
駐車した場所の横にこんな看板がありました。
こっちのほうが面白そうですねえ。(残念ながら閉館していたみたいですが。)
かずら橋から今度は徳島港をめざしました。フェリーに乗ってみようかな、と考えての事です。
県道だったか、狭い道を走るとこんなのがありました。そういえば、ガイドブックに載っていたっけ。
時間ぎりぎりにフェリー乗り場に到着。この車にとって初めての出来事です。
すっかり日が暮れた港を出港です。
フェリーに太陽光発電所がありました。
いよいよ和歌山港です。
たいへん楽しい二日間を過ごしてきました。
コウモリ研究もいろいろ考えることもあり、勉強になりました。やはり、同じ興味を持つ仲間というものはいいものです。