なにわのナチュラリスト            
 
             〜自然の達人たち〜

        博物館の公式ページは こちら

            2005年7月20日



情報センター上の特別展示室で、表題の特別展が開催されています。
聞くだけでおもしろくなさそうでしょ?博物館でも危機感があるのか、友の会の会報に割引券が付いていました。
400円が300円になるとか。さらに、もっと割引券が必要なら友の会の会員券を情報センター(1階の売店の所)に見せると券をくれるらしい。会員じゃない人は浦野に聞いたって言って割引券をもらって下さい。くれるかどうかは知りません。
私も準備段階から何回かうわさは聞いていましたが、あんまり興味はありませんでした。知らない(と思っていた)人がほとんどですもんねえ。結局何を展示しているのかもわからない。パンフレットにある木村なんとかという、文化財に指定されている江戸時代の標本も最初はおもしろかったけどこれで3回目、かなあ、ちょっと出し過ぎとちゃうかなあ。

友の会の賛助会員になっているので無料の招待券がきます。本も1冊もらえます。で、少し用事があったのでついでに見てきました。300円払って、本を買ってまで行くかどうかはわかりませんでした。もっとも、会員なら無料で入れる機会が1,2回はあるんですけど。

って、おもしろくないようなことを先に書くと関係者に怒られます。
結論から言うと、おもしろいです。地味ですが内容は濃い。博物館というものが、いかに一般の人に支えられているのかがよくわかります。自然科学上の新発見や発展は学芸員だけの領域ではなく、むしろこういう人たちにおんぶにだっこです。
ほんなら学芸員は何をやっとるんだろう?
まあ、私のコウモリと一緒で、仕事じゃないから余計に一生懸命になる、と言うことでもあるんでしょうね。

「なにわの〜」ではないけど、ナチュラリストの代表、牧野富太郎の標本。
1918年の記載がある。

最近、牧野富太郎って人を知らない人が多いのでびっくりしました。冷静になるともうそんな時代なんでしょうねえ。
私が子供の頃は夏休みの理科研究は昆虫採集と植物採集が定番でした。で、植物図鑑はたいてい牧野何とかって書いてありました。理科研究そのものがなくなり、採集することが自然破壊と勘違いされる世の中ですから。
そんな時代になった、採集を白眼視するようにさせたのも私達の世代でしょうかねえ。

こんな標本があるとはしらなんだ。150年前の標本!やっぱり現物の迫力があります。
この標本が自然史博物館に来るまでもいろんな物語があるみたいです。解説書に詳しく書かれています。その経緯、非常におもしろいし、よく調べられてますねえ。

ぜひ買って読んで下さい。

で、フル出場の木村何チャラの標本。詳細はこちら。もちろん、何回見てもおもしろい。

組み立てられた標本はこちら。こんなん出てきたらおもろいわなあ。
で、個人で死蔵しないで、博物館に寄贈する事がすばらしい。

右は河床にビニールを敷いて足跡を写し取ったものです。これから歩く速度までわかるらしい。

私も何回かここに行きましたが、こんなのは簡単には出てきませんわ。

知識がないとこれが脊椎の骨とは思わないでしょうねえ。さらに掘り出すのにも技術が必要。

石、化石、鉱物は愛好家が多いみたいです。有名な化石の採集地に行くとたいてい誰かがいます。私も博物館で教えてもらって、あるいは本を調べてあちこちに行きました。確かにおもしろいけど場所によっては石が硬くて重労働です。もちろん、こんなんがゴロゴロ出るわけでも無し、結局は長続きしなかった。今でも庭にフズリナの化石が転がっています。石はゴミにも出来ません・・・・・。

昆虫採集はチョウチョウに始まり次はカミキリ?とにかくきれいです。

高校に入って生物部に入りました。近所の山へよく昆虫採集へ行きました。その続きで大学に入っても細々と、気が向いたら昆虫採集はしていました。特に北海道は昆虫相が大阪と全然違うのでおもしろい。蝶を採集するのは良いけど、大型アゲハなんかを数多く集めると標本箱がいくつあっても足りません。学生の身でそんなにたくさん標本箱を買えるわけではありません。カミキリは場所も取らないしきれいな種類も多いし、図鑑が充実しているので積極的に採集を始めると、図鑑には必ずこの人の名前がありました。うーん、懐かしい。

博物館で、ナチュラリストというと必ず出てくるのが八木沼さんの名前でした。

最初、八木沼展を、と言う話も聞こえていました。でも世間的には知名度が低すぎます。資料を見ると天皇陛下にクモの講義をされたほどの学者さんだそうですが、相手がクモとなると地味すぎるんでしょうね。私も評議員になって初めて聞いた名前でした。でも、そのあとしょっちゅう学芸員や評議員からこの名前が出てくるので、その道の人にとってはすごく影響力のあった、有名な人だったんですね。

博物館、友の会では普及活動というか、一般の人を対象にした行事をいろいろおこなっています。その時にこんなめずらしい昆虫が見つかっています。どっちもいわばタダの虫なんですけど、見る人が見るとその貴重さがわかるんですね。

有名なセアカゴケグモも友の会! 自分の名前を見ると、とりあえずうれしい。

堺市が有名になったのは黄金の日々(NHK連続ドラマ、もう覚えている人は少ないだろうなあ)、ついでO157の食中毒、ついでこのゴケグモ。
ゴケグモの発端も友の会の会員の採集と、それがただ者ではないと判断された事。確か、これより前に採集していた人もあったんとちゃうかなあ。

右は博物館の活動を助けてくれてる人という事で、友の会の歴代評議員を書いています。なんであれ、自分の名前が出てくるのはうれしい。
故人になると別扱いで紹介してくれるかなあ。大阪のコウモリ研究に大きな足跡を残した、って。

ということで今回の特別展紹介はこれでおしまい。
ぜひ一度は見てきて下さい。


博物館の(旧)特別展示室で
「ナチュラリストのお宝展」が展示されています。
まず目立つのが剥製の数々。
解説にもあるように、高校の生物科にはこういうお宝が数多く眠っているらしい。そして共通するのはほこりまみれでゴミ寸前と言う事。さらに、ケースによると(というよりほとんど)データが無く標本としても価値があまりないという事。
とはいえ、このクラスならそれはそれで貴重。

見ての通り、トキ! アマミノクロウサギ。レントゲンで同定。

エトピリカとクジラの頚骨。
卵はダチョウ?エミュウ?
ウミスズメと、ハリモグラ。
卵を生む哺乳類。(単孔目)

空を飛ばすならムササビのつもり?新種? ニホンカワウソモドキ?絶滅動物?

これ、ムササビじゃない!回答は・・・・。そのうち載せます。

アナジャコの化石と言うけど砂の固まりにしか見えない。出品者の方、ごめんなさい。

いわゆる雌雄同体。採集記録が不詳らしい。 プラナリア娘の出品。

究極のお宝はやっぱり金ですね。兵庫県の廃坑で砂金捕り。そこそこ出てました。

西川先生、博物館友の会会長のお宝。知る人ぞ知る、お宝コレクターの究極。
宝とゴミは紙一重を実証しておられる。このカブトガニは何と、ベトナム産。
山中で会うと仙人かホームレスと間違われる可能性あり。

剥製は日に当てないように。 私も高校時代は昆虫採集ばっかりでした。


ホネホネ団のついでにもう一度お宝見学。

世の中やっぱり金! 初宿学芸員のテントウムシコレクション