野鳥カルテ            
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2003年 1−3 4−6 7−9 10−12

2004年 1−3 4−6 7−9 10−12
2005年 1−3 4−6 7−9 10−12


コジュケイ   3月1日
カイツブリ    2月22日
ドバト      2月21日
キジバト     1月24日
メジロ       1月20日

ヒドリガモ    1月5日
ユリカモメ   1月5日



ドバトの続き
3月19日

骨の反応が全くないのでピンを抜き外固定をしてみました。
が、数日後テープをはずしてみると中手骨以下が壊死、脱落してしまいました。ミイラ化しています。
困った、といっても常にある問題ですねえ。
このまま放鳥か、安楽死か。




コジュケイ
3月1日


(救護ではありませんが話のネタに)
友人から携帯のメールが来ました。

ハトぐらいで、羽がモコモコ、生えそろっていないので子供だと言います。
今頃繁殖する鳥はないし私の記憶では思い当たる鳥がありません。
死んだというので持ってきてもらうと

コジュケイでした。
声はよく聞くけど姿はあまり見ません。
チョットコイ、チョットコイ、チョットコイ、ちゅうやつです。
山の中でこの声を聞くとつい誘われて付いて行き迷子になる、んでしたっけ?
ちなみに友人はわからないのがシャクで本を何冊も買ったけど結局わからなかったとの事、私はしばらくながめてから気が付いた、博物館の学芸員さんは最初の写真ですぐに答えをくれました。




カイツブリ
2月22日


釣り糸に絡まっていたそうです。
針を飲み込んでいる可能性があるので、レントゲンを撮りましたが問題はありませんでした。

奇妙な鳥ですねえ。尾っぽもなくってバランスが悪い。

飼うのはかなり困難ですし、糸も簡単にはずれたので、すぐ放鳥しました。
わかります?一目散に水面を走って逃げていきました。
こんな保護ばっかりだったらええのになあ。




ドバト
2月21日


中手骨の骨折です。
先に言い訳しておくと、開放骨折で皮膚が壊死、化膿しているのでちょっときびしいんとちゃうかなあ。
ピンニングと外固定を併用するつもりが、骨の中央部が複雑骨折しているし1mmのピンで髄腔がいっぱいになり外固定のピンが入るスペースがなく、ピンニングだけになりました。おまけに皮膚の壊死と腫れで欠損部が埋められず、無理して皮膚縫合したらさらに皮膚が裂けたりで、予後は悪そうです。




キジバト 死亡
1月27日


残念ながらキジバトが死亡しました。
急に呼吸困難になりレントゲンを撮るとこんなんでした。

保護時のレントゲン 死ぬ前のレントゲン

わかります?レントゲンでは空気は黒く写ります。左のレントゲンの肺、気のう部分はまあこんなもんでしょう。
右のレントゲンでは黒い部分が広がり、心臓が空気に囲まれて、さらにその他の内臓も空気の層に浮いてるみたいになっています。空気が漏れておなかにたまってることが疑われます。骨折部分が気のうを傷つけて空気が漏れてるんではないでしょうか?そのために呼吸困難?

骨折部。指が頭側。 下が頭側。

さらに解剖により心臓部分まわりに出血を確認しましたので、骨折した骨がどこかの血管を傷つけたか、最初の衝突でおなかのどこかから出血していたのかもしれません。
まあ、剖検といってもこっちの都合が良い方向に考えるので、それが本当の死因だったのかどうかはわかりません。
一般的にはここの骨折は何もしないで良いし、曲がってくっついても飛ぶらしいですが。
記憶では、最近の野鳥はほとんど死んでいる。生きているうちにほかす放鳥するのが鉄則やなあ。




キジバト
1月24日


(おそらく)衝突続きです。
一見したところ、外傷や翼の下垂もなかったので、骨は大丈夫かと思っていたら肩関節の脱臼と、う口骨骨折がありました。
ドバトではピンを入れる手術をしたことがありますが、このまま固定すれば良いということなので今回は固定だけしました。長期飼育か、もらい手を探すか。




メジロ
1月20日


ビルの窓への衝突らしい。
体重は10gあるのでそこそこ健康だったのでしょう。
残念ですがそのまま死亡してしまいました。


知り合いの方から、”隣の家の人がメジロを捕まえて飼っている。さらに、それをねらってモズが来るがどうしたらいい?”、って電話がありました。
まあ、個人で、趣味で庭に来るメジロを飼うぐらいはええんとちゃいますか?

モズがそういう鳥を襲うのは有名らしいです。
カスミ網で鳥の捕獲調査している人の話でも、ちょっと油断するとモズにやられて首のない鳥がカスミ網にぶら下がっているとか。
モズというとこんな写真を知り合いから頂きました。

ねずみ取りにかかったそうです。
どうしたらしい?って相談されたけどここまで来ると何も思いつかない。
少量なら珪酸アルミニウム(シッカロール)で取るけど。あと思いつくのはマヨネーズ、除光液、スーパーオレンジ?、灯油?。
自信を持って、数日で死ぬんとちゃいますか?と言ったらそれだけ当たりました。



ヒドリガモ
1月5日


不思議に続いて野鳥が来ました。
犬の散歩で見つけたそうです。遠いところ、ありがとうございました。
足根中足骨の骨折でした。

見ての通りの複雑骨折。 かなり腫れている。

ピンニングも考えましたが水鳥なので術野が濡れて感染すると思います。また、骨片が多いので単純なピンニングでは整復困難でしょう。外固定で様子を見ることにしました。
全身のレントゲンでは他には異常が見つかっていないのである程度固まってくれれば都市公園なら餌もあたるでしょうし、生きて行けそうな気がします。
足が悪いだけで飛べないのはちょっと腑に落ちないのですが。

注射器の外筒を利用しました。本当は上の関節も含めた固定が必要なんですけど。

機嫌は良さそう。


*残念ながら10日に死亡しました。
前日まで食事も食べて機嫌良くしていたんで、安心していたのに。
まだ病理解剖、というほどではない、仮剥製にしていませんので、死亡原因がわかればまた掲載します。




ユリカモメ
1月5日


公園で保護されたそうです。
都市公園ですが池があって給餌(というか、餌がもらえる池)されているようです。
保護した時から見ての通りで、衝突による脳障害か呼吸器系での出血などを考えています。保温と酸素吸入で様子を見ていますが、さすがにこれではつらいですねえ。

羽を見ると若い子でしょう。カムチャッカだかその近郊で生まれて、はじめて日本に来て事故に遭う、ってかわいそうですねえ。それが自然と言ってしまえばそれでお終いなんですけど。

横臥して開口呼吸。 酸素ボックス。

*残念ながら当日に死亡しました。320gのメスでした。
剖検しましたが頭部、頚部に内出血があったぐらいで大きな異常は見つけられませんでした。
皮下脂肪がいっぱいでした。

そうそう、書きそびれていましたが年末のユリカモメは12月中旬に気のう炎にて亡くなりました。
200gと、この子の2/3の体重でした。皮下脂肪は全くなく、剖検、仮剥製作りには助かりました。