鳥の巣展 博物館の公式ページは こちら
2003.7
準備段階で見たときは大まかなグループに分けて鳥の巣が並んでいるだけで、まあ、似た鳥は似た巣を作るなあ、程度にしか考えていませんでした。展示が完成して説明がつくと、すごいコレクションと言うことがわかりました。似たもの同士でも細かい点でいろいろ違うんですね。
採集地が大阪近辺のものが多いのにも感心させられました。コレクションしておられる方は、専門家ではないサラリーマンだそうで、休日を利用しての採集、しかも基本的に繁殖中から観察し、利用しなくなったのを確かめてから採集、というパターンが多いので、大阪近辺が多いらしいです。鳥の会でも都市近郊の鳥の繁殖調査はしていますが、巣まで見つけることはほとんどありません。目の付け所、観察眼が違うんでしょうね。準備に入ってからも新作が何点か持ち込まれているそうです。専門家ではないといっても、これが職業ではないというだけでもちろん鳥の巣に関しては第1人者です。
遠方のものは家族旅行と称して奥様、子供をだまして(?)旅行に連れ出し、ついでに(どちらがおまけなのか定かではないですが)採集というパターンも多いらしいです。そういう採集記がところどころに書かれています。さりげなく書いているところに苦労とか楽しさが隠されていて、それだけでも十分楽しめました。休日に一人でコウモリに出かけるときの後ろめたさと共通した所があり、妙に納得したりしました。
鷲鷹類の巣はやはり迫力があります。ハチクマはハチの巣がのっかっているし、オオタカの巣には鳥の足や骨盤の骨が多数乗っています。トビの巣には軍手や布の切れ端。ちなみにこのトビの巣にはスズメが巣を作っているらしい。宮崎学さんの写真にも同様にスズメが出入りしている写真がありました。
とにかく、あまりにも膨大でとても紹介しきれません。一説によると、コレクションしている小海途さん自身、コレクションの全貌が始めてわかった、という説もあるほど家中鳥の巣だらけだそうです。やっぱり現物を見てもらわないとこのすばらしさはわからないと思います。浦野動物病院のHPを見て来た、とおっしゃってもらえれば入場料の割り引きが、ございませんが、受付でお姉さんの笑顔がもらえます(かなあ)。
巣の説明は解説書があるのでそれをお買い求めください。いくつかの、ちょっとした説明は学芸員がHP( こちら と こちら )に書いていました。これを読んでから見にいくと見方もごろっと変わります。
下の写真は特別展前日に行われた、友の会会員向の特別公開時にざっと見ながら写真をとったものです。私の解説に間違いがあったり、種の不明な巣もいくつかあります。実物はご自分でご覧になって下さいませ。
スタートはクマタカから。大阪府(の近く)の巣!だそうです。 大きすぎて廊下が通らず、2階の窓枠をはずして家に入れた、との解説が。 |
”言われなければただの地面”、シリーズ。卵は博物館の標本。
地面ごと採集するらしいですが、慣れれば先に箱を埋めておき、鳥がそこに巣を作りたくなるような細工をして巣を採集することも可能だそうです。
これも土の塊。
振動で壊れそう。
鷲鷹シリーズ
チュウヒは地面に巣を作る | トビはボロ布がお好き |
サシバ | 右下にハチの巣が見えるとおり、ハチクマ |
オオタカ。あちこちに獲物の”残りカス”が見られる。 |
ハイタカの巣にも食べ残しがいっぱい。 |
ヨタカも地面系の巣 |
ゴジュウカラ | アオゲラとアカゲラ |
コガラ |
左は最近の池事情を反映したカイツブリの巣。↓の解説参照のこと。 | |
水辺系
まだまだあるけど載せきれません。
同時に開催されている鈴木まもるさんの原画展と外国の巣のコレクション